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「具体と抽象」を再読した。この本、意外とエンジニアにオススメ。

📆2020/09/23(最終更新日:2020/09/24)🔖 読書ログ

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「具体と抽象」という本を読み返しました。2年前くらいに、前職の先輩にオススメされて買って読んだ本だったのですが、再度引っ張り出してきて読みました。改めて読んでもメチャメチャ良い本でした。

物事の考え方や捉え方について書かれた本なのですが、エンジニアリングや組織論・チーム開発にも役立つ知識がそれこそ具体例としてたくさん散りばめられています。(タイトルで敬遠せず、エンジニアの人……読んで……)

ざっくり本の内容を説明すると、

具体と抽象とは何かという概念の説明と(抽象度高)、具体と抽象が実際に人間の生産活動の中でどのように登場するのかの具体例(抽象度低)について書かれている本です。最初の1章だけでも読むと世界の見え方が変わるかも。

当たり前に具体と抽象の世界を行ったり来たりできる人は読まなくても大丈夫かもで、社会人歴が浅い人や、人と議論が噛み合わないな〜と思ってる人とか、仕事うまく進めるの苦手だな〜って人とか、学生さんとか、そういった方々にはぜひ読んでいただきたい一冊です。

以下、良かったなと思った部分のメモと、

その感想です。

人間が頭を使って考える行為は、実はほとんどが何らかの形で「具体と抽象の往復」をしていることになります。つまり、「具体化」と「抽象化」が、人間しか持っていない頭脳的活動の根本にあるということなのです。(P15)

「人間とロボットの違いって何?」ってよく聞かれる問いの一つだと思うんだけど、その答えの一つがこれだと思ってる。

上流では個性が重要視され、「いかにとがらせるか?」が重要なため、多数決による意思決定はなじみません。意思決定は、多数の人間が関われば関わるほど「無難」になっていくからです。(P67)
抽象度の高い上流の仕事に「コラボレーション」はなじまないことがわかります。(P67)

これ共感した。現場もけっこう頭に浮かんだ。僕らがよく表現する言葉で What と How ってのがあって、What (何を作るか)は、上流にあたるから、誰か一人がズバズバ意思決定していくのが良いんだと思う。製品のコンセプトレベルでもそうだし、グロースフェーズでもそうだと思う。How(どう作るか)はみんなで話し合った方が、良い方法が思い浮かんだりする。

ここの話はマジで混ぜるな危険。(混ざりがちな人を沢山見てきた)

哲学、理念、あるいはコンセプトといった抽象概念がもたらす効果は、個別に見ているとバラバラになりがちな具体レベルの事象に「統一感や方向性」を与えることであり、いわばベクトルの役割を果たしているのです。(P82)

会社のミッション・ビジョンとかまさにそうで、けっこう抽象度高い言葉を掲げると思うんだけど、ベクトルを指し示すにはうってつけなんだよね。

一度固定化された抽象度の高い知識(ルールや法則等)は固定観念となって人間の前に立ちはだかり、むしろそれに合わない現実のほうが間違いで、後付だったはずの理論やルールに現実を合わせようとするのは完全な本末転倒といえます(P97)

これ、自分の思考パターンでけっこうやりがちな気がしてるから、メチャメチャ注意しなくちゃいけないなって読みながら思った。

具体の世界と抽象の世界は、いってみればマジックミラーで隔てられているようなものです。本書のピラミッドで言うと、上(抽象側)の世界が見えている人には下(具体側)の世界は見えるが、具体レベルしか見えない人には上(抽象側)は見えないということです。(P112)

最近は見えている側に立つことが多くなり、見えていない側へのコミュニケーションとかをよく考えるようになった。本書でも、こうしたらいいよ!とは書かれていなくて、自分の結論としては、相手がどこまで見えているか(視座と言い換えても良いかもしれない)を間違えず、丁寧にコミュニケーションを取るしか無いなと思っている。

結局重要なのは、「抽象化」と「具体化」をセットで考えることです。(P129)

本書の一番のキモはここかなと思ってる。具体と抽象の構造を脳の片隅にでも良いから置いておいて、いま自分がピラミッドのどこにいるのか、議論のテーマはどこなのか、自分はどの部分の思考をしているのか、しっかりと認知することがダイジ。こういうのが地頭力ってやつに繋がるんだと思う。

🐈

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